頭皮にアトピーが出る原因
頭皮は皮脂分泌が多い
こんにちは。鍼灸師の伊東 歩です。
まず、頭皮の皮膚症状が出たとき、アトピーなのか脂漏性皮膚炎なのかで、方法が違ってきます。
頭皮は皮脂の分泌が多いので、何かと皮膚トラブルが出やすい所。
脂漏性皮膚炎は「マラセチア」という常在菌が、増えた皮脂や汗をエサにして増えて、炎症を起こしたものです。
ですから、クライアントさんの中にも、
「いつものアトピーかと思っていたけど、抗真菌薬を塗ったら良くなりました」
という方がいらっしゃいます。
ステロイドを塗っても変わらないようなら、脂漏性皮膚炎の可能性もあります。
膿痂湿疹(とびひ)をふくめて、このような場合は皮膚科の医師にご相談ください。
抗生物質など「菌」を減らす薬が必要なので。
アトピー+熱による乾燥と炎症
- 頭皮トラブルの原因が「菌」ではない
- 頭皮以外にもアトピーがある
- でも頭皮の状態がいちばん気になる
となると、あなたはアトピーの原因として熱の影響が強いタイプなのかもしれません。
熱は上に昇る性質がある
アトピーを東洋医学的にみるとき、熱を重要視しています。
「身体の熱が発散されず、皮膚に留まっている」
として施術すると上手くいくからです。しかも熱の性質として、上半身に溜まるという傾向があります。
温まったものは上に昇るというのは、自然の摂理ですね。
熱が頭に溜まる体質
熱が上半身、とくに頭に溜まりやすい状態には3つのパターンがあります。
冷えのぼせ
下半身は冷えるけれど、上半身は暑く汗をかきやすいのが「冷えのぼせ」タイプ。
水分代謝が苦手で、下半身がむくむことも。
東洋医学的には「腎虚」と判断されることがあります。
更年期
40代に入り女性ホルモン(エストロゲン)が減り始めると、いわゆる更年期にまつわる体調不良が始まります。
じつは40代というのは、子供の時期と同じくらいアトピーに悩む人が多い年代。
のぼせやほてりの熱が頭部に溜まり、全身状態とともに頭皮の状態が悪化する女性は意外と多くいらっしゃいます。
イライラストレス
男女・年齢は関係なく、ストレスのかかる環境でイライラを溜めこんでしまうと、鬱積した「内熱」が生まれます。
このタイプの熱は、身体を走る経絡に沿って皮膚状態が悪化するので分かりやすいですね。
おもに「肝経」「胆経」「督脈」といった部分をチェックしてみてください。
【 肝経 】
【 胆経 】
【 督脈 】
経絡の流れをみると分かるのですが、
【 肝経 】 【 胆経 】
「怒り」「イライラ」が強いストレスだと、頭の中でも側頭部(耳の上のあたり)の頭皮の状態が悪化しやすい。
【 督脈 】
「自律神経系」の張りつめたような緊張状態が強いと、頭頂部にアトピーが出やすい傾向にあります。
頭皮のアトピーをセルフケアしよう
お伝えしたように、タイプは違っても「頭」に熱がこもっている状態は同じ。
ですから、頭皮のアトピーの状態を改善するには、こもってしまった熱を取ることが大事です。
熱を抜く
頭にこもった熱を抜いてしまいましょう。
この方法は「瀉法(しゃほう)」といって、身体に余分なものが溜まったときに使います。
また、かゆみが強いときにもいいですね。
まずは、つまようじを20本くらい用意しましょう。
そして、輪ゴムで束ねるのです。
私たち鍼灸師が使う「集毛鍼(しゅうもうしん)」という道具があるのですが、これはその代わりになるもの。
刺激のコツを覚えれば、かなり使えます。
この「つまようじ鍼」を使って、まずは百会という頭のてっぺんのツボを刺激しましょう。
百会に「つまようじ鍼」を、チョンチョンと叩くように当ててみてください。
ツボは違いますが、鍼の動かし方はこちらの動画が参考になります。
もし、百会の皮膚の状態がアトピーで敏感になっている場合は、ツボにとらわれずに刺激できそうな頭皮を探して、チョンチョンとやってみてください。
刺激する時間は、長くても1分くらいで充分です。
百会が終わったら、こんどは首のうしろを同じようにチョンチョンと刺激ししょう。
左右の「肩中兪(けんちゅうゆ)」あたりを、先ほどの「つまようじ鍼」で少し赤くなるまでチョンチョンと。
ここも、上半身の熱が抜けやすいポイントです。
下半身に熱を引く
身体の反応として、「いじっている所に気血が集まる」という特性があります。
つまり頭や首を触っていると、頭に血液が集まってくるという感じ。
ですからセルフケアの終わり方として、下半身に熱を引いて終わりましょう。
アトピーの場合、解毒の「肝」と排泄の「腎」が弱いことが多いので、まとめて補える「三陰交(さんいんこう)」というツボを刺激します。
刺激の方法は、指で気持ちよく押してもいいですし、何かを貼っておくのもオススメ。
米粒やゴマを絆創膏で貼っておくと、頭に集まりがちな気血が下半身に引けます。
ですから、いつも頭皮のアトピーが酷くなるタイプのひとは、三陰交を使ってみてください。
しばらく続けていると、頭皮の熱が下半身に降りてくるようになりますよ。
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