慢性疲労を回復するには【日常呼吸】を深くしよう

[surfing_voice icon=”https://kireinomi.com/wp-content/uploads/2017/04/kao3.jpg” name=”” type=”l” bg_color=”” font_color=”000000″ border_color=”e0c38c”]記事を読んでいただき、ありがとうございます。
あなたの「やってみよう!」という気持ちを応援する、セルフケアお助け鍼灸師の伊東 歩です。

あなたは、

「寝ても疲れがとれない」
「常に身体がだる重い」
「すぐ横になりたがる」

といったことに、心当たりはありませんか?

もしかしてそれは、東洋医学でいうと

【気虚(ききょ)】

という状態かもしれません。
活動エネルギーの不足しがちな気虚状態は、少し休んだくらいでは改善は難しいです。

今回の記事では、根本的に気虚体質を改善するための秘訣をお伝えします。[/surfing_voice]

疲れの原因

疲れって計れるの?

わたしたち東洋医学にたずさわる施術者は、脈をとってクライアントさんの状態を知ります。
脈診というのですが、脈に触れると、そのひとがどのくらい疲れているのかを感じることができます。

でもこれは、本人の「疲れてるな~」という感覚と一致するとは限りません。
施術者として客観的にわかる「疲れ」と、クライアントさん自身の「疲れ感」は違うのです。

じゃあ、疲れというのは計れないのか。

筋肉中の酵素であるCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)や乳酸、活性酸素が細胞を酸化させた時に関わる物質FF(Fatigue Factor)の数値を計るなど、いろいろな試みがされています。

これらも疲労の目安にはなりますが、それでも本人の疲労感とは食い違うことがあります。

その理由は、疲れというのは脳が感じていることだから。

疲れは脳で感じている

【疲れを感じる流れ】

① 運動やデスクワークなどによって細胞で酸素が大量に消費される

② 活性酸素が発生

③ 活性酸素が細胞を傷つける

④ 細胞から老廃物が発生

⑤ 脳が老廃物を感知して疲労と判断する

このような流れで、ひとは疲れを脳で感じるようになっています。

この「脳で感じる」とのが、やっかいなところ。

たとえば楽しいことをしていれば、ドーパミンやβ-エンドルフィンが脳内でドバドバ出るので疲労感は少ないのですが、嫌々やらされている仕事ならどっと疲れを感じてしまいます。

ですから、たとえば病院に行って疲れを回復する治療を求めても、このような理由があるので決め手に欠けるのです。

慢性疲労症候群

最近問題となっている慢性疲労症候群をごぞんじですか?

慢性疲労症候群というのは、生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、微熱、リンパ節腫脹、頭痛、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下などが休養しても回復せず、少なくとも 6 か月以上の長期にわたって症状が続く疾患のことを言います。(出典:厚生労働省『難病・慢性の痛み関連情報』より抜粋

この慢性疲労症候群ですが、その原因は分かっていません。

ですから、活性酸素に対抗するために大量のビタミンCを服用したり、免疫調整剤を使ったり、対症療法をするしかないのですが、そのなかに【補中益気湯(ほちゅうえっきとう)】という漢方薬も使います。

この補中益気湯は、気虚体質を改善する定番の漢方薬。

つまり、原因は分からないけれど、ひどい疲れを回復するには「気」を補うのが有効だということです。

「気」は活動エネルギー

東洋医学では、ひとの健康は、気・血・水の3つの要素がカラダを滞りなく巡ることで維持されると考えます。

ふだんの施術でクライアントさんに話をするときは、「血は血液、水はリンパ液だと考えてください」と説明するのですが、「気」が難しい…

なにせ、実体がないですから。

そんなときに便利なのが、電気。実体はないけれど、物を動かす原動力になります。

あなたがおもちゃのロボットだとしたら、電池が少ないというのが、疲れているという状態です。
いくらスイッチをひねっても動きが遅いし、坂も登れない。

そんなときは、充電するしかありませんよね。

気を補充するのは呼吸と食事から

おもちゃのロボットなら、コンセントにさせば充電できますが、わたしたちはできません。

じゃあ、どうやったら充電できるのかというと、呼吸食事です。

深い呼吸と、質の良い食事。

この2つから私たち人間は気を補充しています。

農薬をたっぷり使った遺伝子組み換えの作物に、添加物や着色料を混ぜ込んだ食べ物と、形は悪いし虫も食ってるけれど、豊かな土壌で育った季節の作物。

どちらが、あなたにとってエネルギーを与えてくれるでしょう。

肺の一部しか使わない浅い呼吸と、肺を目いっぱい使って、たくさんの酸素をとりいれることのできる深い呼吸。

どちらが、エネルギーを充電できるでしょう。

手っ取り早いのは呼吸を変えること

食事については、費用の問題や、家庭の都合もあるので簡単には変えられないかもしれません。
でも、呼吸なら今すぐにでも変えることができます。

ひとは一日のうちに、だいたい30,000回くらい呼吸をします。一回あたりの換気量が平均で約0.5ℓなので、一日にすると15,000ℓ、ごはんにすると100杯分になります。

でも、一回当たり0.5ℓって、できてると思います?
普段の呼吸で息を吐くとき、500ccのペットボトル一本分の息を吐いている感じありますか?

たぶん、少ない人が多いと思います。

ですから、たとえ1割でも今より呼吸が深くなれば、それだけたくさんガス交換ができます。
そのためには、

① 日常の呼吸を深くするための「胸式呼吸」

② たまに気がついた時にたっぷりガス交換する「腹式呼吸」

の両方をやってみましょう!

慢性疲労を回復する胸式呼吸

日常生活をしているときの呼吸を深くするには、肺がなるべくふくらむようにすることが大事。

そのためには、猫背と肩の巻き込みをとること。
ためしに、わざと猫背になって、肩を前に出した状態で息を吸ってみてください。

どうでしょうか?

たぶん、息があんまり吸えないと思います。
パソコンやスマホを使っている時間の長いひとは、このような姿勢になりやすいので要注意です。

これからお伝えするストレッチで、胸を開いて、猫背を伸ばして、深く呼吸ができるような姿勢に直しましょう。

呼吸が深くなるストレッチ

① まず、腰のうしろで手を組みます。

② 息を吐きながら、ゆっくりと腕をあげましょう。

コツは、肩甲骨をなるべく内側に寄せることと、上半身を真っすぐにキープすることです。

動画でもストレッチを説明していますので、参考にしてみてください。

呼吸が楽になる胸式呼吸

猫背と肩の巻き込みが取れたら、つぎは肋骨の硬さを取りましょう。

肋骨というのは固定されたものではなくて、呼吸のたびにアコーディオンのように広がったり閉じたりを繰り返しています。

でも、肋骨の間にある筋肉が硬くなってくると、肋骨が広がらないので、内側にある肺も広がりにくくなってしまいます。

ですから、なるべく筋肉を柔らかくしておきましょう。

胸式呼吸をすると、筋肉が柔らかくなるだけではなく、息を吸う時につかう「外肋間筋」を鍛えることができますので、おすすめです。

ちょっと慣れるまで難しいかもしれませんが、ウエストの引き締めにもなりますので、ぜひチャレンジしてみてください。

まず、胸とお腹に手を当ててください。そして、思いきり息を吸ってみましょう。

たぶん、胸とお腹の両方がふくらむのを感じると思います。
今度は腹筋にチカラを入れて、お腹をふくらまさないようにしながら、息を吸ってみましょう。

どうでしょうか?

たぶん、あんまり息が吸えないと思いますが、それで大丈夫です。

できるだけたくさん息が吸えるように、胸を広げてください。
続けていると、だんだんと胸を広げるコツがつかめてきますので、頑張りましょう!

一日何回と決めずに、一回でも二回でもいいので、気がついた時にやってみてください。

胸式呼吸はちょっとコツが必要ですので、こちらの動画をご覧ください。

腹式呼吸でよどんだ空気を吐き出そう

猫背と肩の巻き込みを取って、肋骨をやわらかくすると、日常の呼吸が深くなります。
すると、今までよりも酸素を多く取り込めるようになるので、慢性的に感じていた疲労感が変わってくるはずです。

そこで、さらに多くの「気」を充電するには、腹式呼吸がおすすめです。

おへその下をふくらませたり、へこませたりしながら呼吸をすることで、「気」が補充され、活動エネルギーが満ちてきます。

また、武道でも「臍下丹田(せいかたんでん)」といって、おへその下に意識を集めると気持ちが落ち着き、身体にも安定感が生まれてくるとして重要視されています。

ストレス解消にもなる

腹式呼吸も、胸式呼吸と同じく、一日のうちで気がついた時にやってみてください。

一回大きく腹式呼吸をするだけでも、胸の奥でよどんでいた空気が吐き出されて、気持ちが「すっ」とします。

ストレスが溜まって、もやもやしてるな~と感じた時にやってみましょう。

ポイントは横隔膜

腹式呼吸をするときに、下腹をふくらませると横隔膜が大きく動きます。
横隔膜は「膜」とついていますが、肺の下にあるドーム状の薄い筋肉です。

横隔膜

なので、あまり動かさずに放っておくと、硬くなり、動きが小さくなります。すると普段の呼吸が浅くなってしまうので、たまに大きく動かしてストレッチしてあげましょう。

腹式呼吸のやり方

① 胸式呼吸と同じように、胸と下腹に手を当てましょう。

② そして息を鼻から吸う時に、胸はふくらませずに、下腹だけをふくらまします。

③ 吸いきったら今度は、自然にまかせて息を口から細く吐き出します。

④ 息の吐き出しが弱くなってきたら、少し下腹をへこませるようにチカラを入れて、残っている空気を吐き出してください。

たまに、下腹ではなくておへその上がふくらんでしまう人がいらっしゃいます。
そんなときは、下腹に当てた手のひらを押し返すようなイメージで、下腹をふくらませてみてください。

こちらも動画で、コツを説明しています。ウエストを引き締めたいひとは必見です!

まとめ

慢性疲労を回復するには、普段の呼吸を深くして、酸素をたくさん取りいれることが重要です。

そのためには、① ストレッチで猫背と肩の巻き込みをとる ② 胸式呼吸で肋骨をゆるめる ③ 腹式呼吸で横隔膜をゆるめて、よどんでいた空気を吐ききる という3つがポイントです。

そうすれば「気」が充電されて、くすみもとれて、顔色も明るさが戻ってきます。ぜひこの3つを、セットでやってみてください。

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