こんにちは。鍼灸師の伊東 歩です。
今日は東洋医学の施術でよく使う「ツボ」の中でも、
アトピーのかゆみを緩和してくれるツボ
を5つご紹介します。
アトピーのかゆみ
かゆみの正体
「かゆみ」というのは、「吐き気」と同じで、身体にとっての異物を排除しようとする反応。
アトピーの人に多い乾燥した皮膚だと、かゆみを感じる神経線維が皮膚表面まで伸びています。
そこに、
- 外界からの刺激
- アレルギー反応
などにより生まれたヒスタミンやセロトニン、タンパク質分解酵素、脂質、サイトカインなどが反応して、
「かゆい」
という信号が脳に届きます。
アトピーに悩む人は、
- 皮膚乾燥による神経過敏
- 外からの刺激
- 内からのアレルギー反応
という3つが重なり、余計にかゆみを感じやすくなっているんですね。
(参考:順天堂大学 環境医学研究所)
東洋医学的な観方
私たち東洋医学の専門家が「かゆみ」を解決しようと思ったとき、『熱』の滞りに注目します。
東洋医学による施術の特徴のひとつは、バランスを大切にすること。
アトピーの人に多い、
皮膚に熱感があるのに身体の深部は冷えている
というような
『熱』『冷え』のアンバランスを整えるのは得意なのです。
皮膚の熱が取れると、かゆみも和らぐ。
これは、アトピーで悩んでいる人なら実感として分かるのではないでしょうか。
当院に通っている人から聞くと、以前、かゆくてしょうがないときは
- かゆい所に保冷剤を当てる
- 冷水シャワーを浴びる
などでかゆみを抑えていたという方がけっこういらっしゃいます。
かゆみ緩和のポイント
かゆみを緩和するポイントは、先ほどお伝えしたように
熱を取り去ること。
ただ、生活をしていて常に保冷剤を当てているわけにもいきません。
そこで、ツボの出番です。
ツボには様々な働きがあるのですが、その1つが「放熱作用」。
皮膚表面に滞った熱を、ツボを通じて体外に放熱することで、かゆみを緩和しましょう。
イメージとしては、
「休火山」だったツボを刺激して
「活火山」にすることで熱を外に出すような感じです。
ツボの刺激方法
ツボから放熱させるには、刺激方法にコツがあります。
専門的には「瀉法(しゃほう)」というのですが、余分な熱を抜くことを目的とします。
指でぎゅーっと押すと逆に熱がこもってしまうので、手軽なつまようじを使いましょう。
つまようじを20本くらい輪ゴムで束ねて、即席の「集毛鍼(しゅうもうしん)」のできあがり。
これを、ツボにチョンチョンと当てて刺激するのです。
ツボを押すのではなく、ツボの周りの皮膚を軽く叩くように。
つまようじの先が皮膚に当たったら、素早く皮膚から離すのがコツです。
では、実際にはどのツボを刺激するのか。
ツボによって特徴がありますので、参考にしながら刺激してみてください。
かゆみを緩和するツボ
曲池(きょくち)
曲池は、肘を曲げてできるシワの先端にあるツボ。
ここを、チョンチョンと皮膚が赤くなるまで刺激しましょう。
ちょっと痛いくらいに刺激するといいですよ。
曲池は便秘による熱を取り去ってくれます。
- 普段から便通が悪い
- 便秘になるとアトピーのかゆみが悪化する
ようなタイプの人は、曲池を使ってみてください。
血海(けっかい)
血海は膝にあるツボです。
膝を曲げると、膝の皿の内側に筋肉の盛り上がりができます。
この盛り上がった所を刺激しましょう。
ピンポイントのツボにこだわらずに、広い範囲でチョンチョンと突っついてください。
このツボは血流を良くしてくれる作用が強いので、
- 生理痛がひどい
- 下半身が冷える
- あざが消えにくい
- 寝ていると脚がつる
- 下痢しやすい
ような人におすすめです。
液門(えきもん)
液門は、手の小指と薬指のつけ根にあるツボ。
液門は、アトピーの人の中でも腕のかゆみが出ている場合に使えます。
熱を取り去るのが得意なツボなので、他のツボと併用するといいですよ。
侠渓(きょうけい)
侠渓は足の小指と薬指のつけ根にあるツボ。
侠渓は、脚の熱をとるのが得意。
アトピーによる膝の裏や向こうずね、足首のかゆみを緩和してくれます。
液門と同じように、他のツボと合わせて使うと効果的です。
肩井(けんせい)
肩井は、肩こりのツボとしても有名ですね。
実は肩こり、肩の筋肉の硬さには比例しません。
いわゆる「コリ感」が強いのは、肩に熱が滞っているとき。
こういう時に熱を抜きやすい肩井のツボを使うと、熱が取れてコリ感が楽になるのです。
背中や胸、首回りのアトピーのかゆみが強いときは、肩井を使うといいでしょう。
場所が分かりにくいので、ちょっと詳しく説明しますね。
まず、首を前に曲げるとポコッと出る「頸椎7番」を探しましょう。
その「頸椎7番」と、肩の一番先端を線で結んだ、ちょうど真ん中あたりに肩井はあります。
アトピーのかゆみや肩こりだけではなく、風邪の引きはじめにも使えますので、
「なんだか寒気がするな…」
というような、ゾクゾクっとした時に使ってみてください。
おわりに
アトピーのかゆみを『ツボ』を使って緩和するポイントは、熱を抜くこと。
ご紹介したツボが、あなたのかゆみを楽にする助けになれば幸いです。
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