痰が絡んだ【しつこい咳】に漢方薬をためしてみましょう

記事を読んでいただき、ありがとうございます。
あなたの「やってみよう!」という気持ちを応援する、セルフケアお助け鍼灸師の伊東 歩です。

先日、クライアントさんから
「咳がなかなか止まらなくって…」
と相談がありました。

一か月に一度、カラダのメンテナンスで通ってくれている方だったので
なんとなく原因は想像がつきました。

そこで、麦門冬湯(ばくもんどうとう)という漢方薬を紹介したのですが、
これがピッタリだったのです。

ということで今回は、
『なかなか痰が切れないしつこい咳には、漢方薬がおすすめですよ』
というお話しです。

咳の出る原因

そもそも、どうして咳が出てしまうんでしょうか。
咳をすると疲れるし、眠れないし、のども痛くなる。だからつい、咳止めの薬を使いたくなりますよね。

でも咳は、カラダを守ってくれる大事な反応なんです。

異物を外に出してくれる咳

咳は、鼻や喉、気管、肺といった「気道」に、痰などの分泌物が溜まったときに出る生体反応です。
そしてこの反応は自動で起こるので、止めようと思ってもなかなか止められません。

じゃあ、なんで分泌物が溜まってしまうのかというと、空気と一緒に吸い込んだホコリや細菌、ウイルスが体内に侵入しないように粘液でからめとってくれるから。

風邪の時に咳が出るのはこのせいで、細菌やウイルスの死骸や白血球の残骸が、粘液と混ざり合ったものが痰となり、咳によってカラダの外に排出されるのです。

ですから、
風邪を引いた ➡ 咳が出る ➡ 咳止めを飲む ➡ 風邪が治る
という単純なことではありません。

痰が切れない状態とは

咳も痰も、カラダにとっては大事な防御反応。
「ありがたい…」とは思うものの、やっぱりツラいですよね。

とくに痰の切れにくい状態が続くと、咳の回数も多くなり、体力が落ちてしまいます。
中には咳のしすぎで肋骨を折ってしまうひともいるくらいなので、なんとかしたいところです。

痰がネバつく原因

風邪に限らず、痰が切れにくいのは痰がネバついているから。

熱があったり、炎症が強かったり、粘液の分泌が少なかったりすると痰がネバついて、いつまでも気道にはりついたままに。
そのうえ、寒さや乾燥で痰を送り出す線毛の働きが弱ると、さらに痰が切れにくくなってしまいます。

一時的か慢性的か

風邪の場合、一時的に気道のどこかで炎症が強くなることはあります。

❶ なんとなく喉がむずがゆい【イガイガ】
❷ 軽く咳をすると取れるくらいの痰が出る【コホコホ】
❸ 今まで喉から出ていた咳が胸から出るようになる【ゴホゴホ】
❹ 咳をしても痰が残ってしまう【ゴッホンゴッホン】

多くのひとの風邪は、喉から入って気管、気管支、肺へと進んでいきます。
それと共に炎症の場所と程度が変化していくので、一時的に痰が切れにくい状態になるのが一般的です。

このように段々と変化していく咳ではなくて、咳が出始めたと思ったら最初から痰が切れにくい。
しかも2,3日では治まらず、数週間続く。

そして、ちょっとしたストレスや季節の変わり目には、いつも痰の絡んだ咳が続くというひとは、もしかして粘膜の潤いが足りない体質なのかもしれません。

体質によって違う漢方薬の選び方

わたしたち東洋医学に携わっている者は、いま現れている症状だけではなく、そのひとがどんな体質なのかを観ています。

そして必要だと判断したら、漢方薬にくわしい薬剤師に処方してもらうことを勧めます。

乾燥体質には麦門冬湯がおすすめ

漢方薬のなかでも、痰の切れにくい咳におすすめなのは【麦門冬湯(ばくもんどうとう)】

風邪が長引いて、痰の絡んだ咳がいつまでも続くような場合によく用います。
でも、風邪に限らず『乾燥体質』のひとの咳には、気道を潤してくれる麦門冬湯が合うようです。

冒頭でお伝えしたクライアントさんは、まさに乾燥体質。

ふだんから皮膚はかさつき気味で、冬になると必ず膝から下は「こな」が吹くくらい。皮膚の状態というのは、そのまま気道の状態にもつながっているので、おそらく痰が切れにくいのは乾燥が原因だろうなと思ったのです。

顔や身体の肌質が人によって違うように、気道や消化器の粘膜の質もそれぞれ違います。

ふだんからお肌が乾燥気味のひとは、身体の内側の粘膜も乾燥しやすいことが多いです。
ですから、もしあなたが乾燥肌で、しかも痰が切れにくくて咳がつらい…という状態なら、いちど麦門冬湯をためしてみてください。

いまはドラッグストアなどにも置いてあります。
あなたに合っているなら、数日で咳の質が変わってくるでしょう。

あるいは、漢方を専門としている薬剤師さんに相談するのもいいです。ドラッグストアなどで扱っている漢方薬よりも、確実に良いです。値段に比例すると思ってください。

麦門冬湯は春に多い

うちのクライアントさんをみていると、どうも春に麦門冬湯をすすめることが多いです。おそらく、春はまだ空気が乾燥していて、しかも気温が上昇。

つまり、粘膜が乾燥して熱を持ちやすくなる季節なんですね。熱を持つと痰が濃縮されるので、なかなか外に出ていかない。だからいつまでも引っかかったような咳が出続けるのです。

もし春に痰の切れにくい咳が続いたら、麦門冬湯をためしてみてください。

漢方薬にしては飲みやすい

麦門冬湯は、飲んでいただくと分かるのですが、とにかく飲みやすい。ほんのりと甘いんですね。

これは、中に入っている粳米(こうべい)つまりお米の甘さ。

適度な甘さは、脾虚といって胃腸が弱い体質のひとには、パワーを与えてくれます。ちょっと体力が不足気味で、空咳が続くときにおためしください。

まとめ

痰が切れにくく、長引く咳というのは本当につらいです。
私自身、ストレスを抱えていた時期に何カ月も咳が止まらず、ゲッソリしたのを覚えています。

今回お伝えした方法をためしてみても、咳の質が変わらないようなら、慢性気管支炎の可能性もありますので専門の医療機関を受診してください。
厚生労働省(e-ヘルスネット 『慢性気管支炎』)

麦門冬湯が、あなたの咳を少しでも楽にしてくれることを願っています。

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